皮膚運動学/皮膚を誘導して可動域を広げる

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ロルフィングブログ

11.『皮膚運動学』
機能と治療の考え方

2013.5.19(日)

書店でみつけて即購入してしまった一冊です。

専門書であり、必要な基本的な説明がなかったりするのでなかなか読みやすいとは言えませんが実際の中身はものすごく面白いです。

筋膜・知覚系に興味ある施術家、インストラクターの方におススメしたい一冊です。

皮膚運動の5つの原則

①皺ができると、さらに皺が深くなる運動は抑制される。伸張された皮膚の部位は、さらなる伸張方向への運動は抑制される。(図A、B)

②伸張されている部位を弛緩すると伸張方向への運動が大きくなる。また、弛緩部位が伸長されると弛緩方向への運動が大きくなる。(図C)

③皮膚の運動方向は関節の骨運動と連動し、骨どうしが近づく運動では皮膚は関節から離れる方向へ動き、骨どうしが遠ざかる運動では関節に近づく。また、回旋運動では同方向に動く。(図D、E、F、G)

④皮膚は浅筋膜層で筋との間に滑走がある。そのため、皮膚の緊張線を張力の強い方向へ誘導すると身体内部との中間位が変化し、運動に影響を及ぼす。(図H)

⑤身体運動では特定部位の皮膚が伸張あるいは弛緩する。伸張しにくい部位は特定の運動方向に影響を及ぼすが、その部位が伸長できると身体運動全体が大きくなる。(図I)



画像:「スポーツメディスン126」より

皮膚の動きの構造

皮膚の下で筋肉が活動する際には浅筋膜層(ここに皮下脂肪が含まれる)の下を筋肉が移動します。この滑走がスムーズであれば可動域は広がりや動きはなめらかになりますが、制限があればより強い筋収縮が必要となります。筋肉自体は筋膜の一種である筋外膜で覆われており、浅筋膜と接触しているので実際には皮膚の動きではなく筋膜の動きとも言い換えることができそうです。

皮膚の誘導の仕方

機械的な刺激で動きを誘導するのではなく、皮膚の感覚器官としての働きにより運動制限に作用していると著者は考えているとのこと。
皮膚を誘導する実際の手技としては軽くさする程度の刺激で変化があると著者は説明しています(「月刊スポーツメディスン126」より)。これは皮膚の知覚を利用していると推定できます。


ロルフィングでは「筋膜」や「知覚」に働きかけて姿勢や身体のバランス、負担のかからない身体を手に入れるお手伝いをしますが、この「皮膚運動学」は筋膜や知覚系の共通点があるので非常に面白いのです。通常のロルフィングの感覚だと「筋膜の性質自体を正常化させる」イメージがありますが、筋膜通しの滑走性を高めるという補助的な手段としてすぐにでも使えそうです。

これは元々リハビリテーションの技術ではありますが、機械的な刺激で身体を変えていくというのではないので、インストラクターの方がストレッチやヨガでがんばりすぎて力んでしまい逆に可動域を狭めている生徒さんに行うというのも有りだと思います。

ロルフィングの10セッション目を学んだ際に先生が皮膚を動かす手技をしていたのですがもしかしたら経験から本書にあるような効果を狙っていたのかもしれません。


まだまだ基礎研究が始まったばかりということで著者が生きている間にはこの手技に関するメカニズムは解明するのは難しいと思えるほど壮大なテーマと捉えているようです。

更なる研究の成果を早く知りたいです。新しい知見が見つかったら本書の改訂版で明らかにしていくようです。


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以下目次
第1章 皮膚運動の理論 ・・・ 福井 勉
  第1節 皮膚運動の特徴 
    1. 皺線(wrinkle lines) 
    2. 皮膚割線(cleavage lines, Langer line) 
    3. 運動に伴う皮膚の連続性  
    4. 筋収縮との関連性 
    5. 皮膚の緊張線(skin tension lines)
  第2節 皮膚運動の基礎
    1. 肩関節屈曲・伸展中の皮膚運動
    2. 股関節屈曲運動中の皮膚運動
    3. 立位過重時の骨盤を左右に動かした場合の皮膚の動きについて
  第3節 皮膚運動の原則
    1. 皮膚と運動
    2. 原則 1
    3. 原則 2
    4. 原則 3
    5. 原則 4
    6. 原則 5
  第4節 運動器疾患への適
    1. 関節運動の改善
    2. 筋運動の改善
    3. 姿勢の改善
    4. 運動療法への応用
    5. 皮膚の評価

第2章 運動器疾患に対する治療への応用
  第1節 関節運動の改善 ・・・ 福井 勉
    1. 肩甲帯
    2. 肘関節
    3. 前腕
    4. 手関節
    5. 上肢関節間での皮膚運動の方向について
    6. 股関節
    7. 膝関節
    8. 足部・足関節
    9. 下肢関節間での皮膚運動の方向について
    10. 頸部
    11. 体幹
    12. 姿勢や運動への応用
  第2節 症例紹介 ・・・ 山口耕平・相谷芳孝
    1. 第4~5腰椎分離症を有する右人工膝関節全置換術後
    2. 急性筋膜性腰痛
    3. 右肩関節周囲炎1
    4. 右肩関節周囲炎2
    5. 右脛骨高原骨折および右腓骨骨折(観血的整復固定術後)
    6. 右シンスプリント
    7. 右頸骨高原骨折
    8. 右胸郭出口症候群
    9. 橈骨遠位端骨折
    10. 頸部痛(寝違え)
  第3節 今後の展望 ・・・ 福井 勉
    1. 筋緊張の改善
    2. 姿勢の改善
    3. おわりに
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『皮膚運動学』
https://www.miwapubl.com/products/detail/1169
著 者:福井 勉
単行本: 154ページ
出版社:三輪書店 (2010/10/1)

ある日、肩関節屈曲制限を有する症例が肩関節屈曲時に肩峰上で皮膚の皺があまりにも大きく盛り上がっているのに気がつき、その皺を取り除くように皮膚を動かすと可動域が改善する事実に遭遇した。

<中略>

基礎的研究は一部しか行っていないが、関節可動域制限の一部は皮膚という身体の表面で生じているという臨床的事実を伝える必要があると考え出版することとした。

<中略>

本書の内容は発展途上のものであり、特に理論的背景については、今後の研究により解明されると考える。

「序」より

2015年8月28日(金)
ムーブメント5シリーズを修正・加筆しました。

2015年4月13日(月)
●コラムに45.【身体】正しい【立ち方】を追加しました。

2015年4月12日(日)
●コラムに44.【身体】脱力と体軸を追加しました。

2014年1月31日(金)
ダンサーの為のロルフィングページを追加しました。

2014年1月25日(土)
●コラムに43.【解剖】肩甲骨と前鋸筋を追加しました。

2013年11月3日(日)
●コラムに42.【解剖】骨盤・仙腸関節の動きを追加しました。

2013年9月17日(火)
●おススメ本に13.『ホンダ イノベーションの神髄』を追加しました。

2013年9月16日(月)
●コラムに41.身体のゆがみ:O脚のメカニズムを追加しました。