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ロルフィングブログ

9.『EBMキーワード』

2013.4.23(火)

大学時代に習ったEBM(根拠に基づいた医療)ですが、色々調べるとあたかもEBMを絶対視している方がおられて気になったので読んでみた一冊です。


著者も記していますがあくまでもEBMとは患者さんによりよい医療を提供する為の一手法であり、誤解をおそれずに言えば手段でしかないことが確認できました。

著者は数々の失敗をとうして現場とEBMとのよりよい関係性を模索しているのが感じられます。あらゆる論文を読むことは研究者としては可能なのかもしれませんが、現場のスタッフが可能とは思いませんし、実際に不可能だった模様です。



本書を読むと科学的手法が一通り把握できます。

「ランダム化比較試験」
「二重盲検」

などの研究手法がわかりやすく説明されていますので、科学的研究手法を知りたいという方も一度読んでおくとよいのではと思います。

やはりEBMは完璧では実践するには分野によって得手不得手があるのがわかります。

意外に学校で習っただけだと、誤解しているケースが多々あるので、EBMを重視している方は絶対に読んでおくべき一冊だと思います。

個人的にはロルフィングの施術者として、個人レベルでもEBMの実践は重要だと感じており色々と模索していますが難しい点がいくつかあります。

それは

①手技の技量差をどうやって定量化するか?
②知覚や微細な動きの変化をどうやって測定するか?
③研究費をどこから手に入れるか?

などがあげられます。①、②の点はロルフィングや手技療法の分野では非常に重要視される点なのですが、現代の「科学」的手法上、研究対象とするのは苦手とする分野です。似たような分野にスポーツやダンスのパフォーマンスについて言えますが、一流選手の動きを詳細に分析できたとしても、そのスキルの違いなどを定量化することはかなり難しい現状があります。

実際に大学などでスキルや感覚について研究しようとしても担当教授から許可はおりませんし、もし降りて論文にまとめたところで学会では評価されません。こうした現状については関連の学会発表を視聴してみるとわかります。大半は筋力など測定がしやすい項目で研究がすすめられています。中には研究の為の研究としかみれないものもあります。

また、③に関してですが理学療法や海外のオステオパシーのように専門の大学機関で教育が行われていれば研究もしやすい環境があるかと思いますが、ロルフィングなどの小組織では研究がしたくともその研究費用をどうやって工面するかという経済的な問題にぶつかります。ある程度世間的に認知されているヨガの研究でさえ十分な研究費を獲得するのは難しいのが現状のようです(参考文献「ヨガを科学する」)。

このようなハードルを如何にして克服するかは今後の課題です。


ロルフィング関係の本である「これがボディワークだ」のAmazonの書評には以下のようなものがあります。引用されていただきます。


====引用開始====

理学療法士で治療をしています。参考になればと、購入しました。

本書は歴史的背景など詳しく解説されています。

残念なのは、急にレシピやセッションが出てきてしまっていますが、評価無くしてこれらの施術に突然入ってしまうのか?と思われる流れです。
実際に、どのようなテストをしてどうだったからそれを実施すると言った過程がなく、本書だけではロルフィングそのものがエビデンスに欠けるものになってしまう印象を受けました。

現在、理学療法士の業界でもエビデンスが非常に重用しされています。

結果よければすべて良し!ではなく、評価に基づいたセッションが必要なのでは無いでしょうか。そういう点で評価を2にさせていただきました

====引用終了====


大変貴重な提言です。ただし理学療法とロルフィングが異なるということも理解していただければと思います。上記にも記しましたがEBMとは金科玉条のように厳密に守ることが目的ではありません。患者さん、クライアントさんによりよいワークを行う為のあくまでも一つの手段です。

ロルフィングでは観察力といった「知覚」を重視しています。ヒトは現代科学の粋をこらしたコンピューターでも測定できない(できてもコンピューター自身はその変化が良いのか悪いのかが判断つかない)微細な変化を捉え認知しています。

ダンスなどみてみるとわかりやすいですが一流と言われるダンサーとアマチュアダンサーではダンスの印象が全く異なります。これはヒトなら誰もがこの差を認識でき一流ダンサーの方が力量が上だと判断できます。コンピューターも日進月歩の発達をとげていますが、この力量の差を瞬時に捉えるにはまだまだヒトの知覚の方が優れているといえるでしょう。人工知能関連の書物をよめばこのあたりは詳しくかかれていると思います。


こうした前提を理解してもらい足りない部分を補完できるような研究が今後望まれます。


ロルファーであり理学療法士の資格を有する知人にEBMについてお話を伺ったところ「理学療法士」の病院での仕事には医療保険という利権が付随するので理解を得る為にも「エビデンス」というものを重視する必要がある、ということでした。つまり大人の事情もあるということですね。


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以下目次

EBMー広義のEBMと狭義のEBM
臨床上の疑問とPECO-の疑問を明らかにする
patient-oriented outcome-目の前の患者の問題
エビ固め-無理な勉強はEBM実践を阻害する
Clinical Evidence-この本はエビデンスを提供しますが,決めるのはあなたです
UpToDate-エビデンスに基づく最強の教科書
Cochrane Library-多数のRCTを一つの総説に
ACP Journal ClubとEvidence-Based Medicine
メタ分析とシステマティックレビュー
診療ガイドライン
MEDLINEとPubMed
診断の疑問に関する二次情報
SnNoutとSpPin/尤度比(likelihood ratio)
仮説演繹法-実は誰でも使っている
バイアス
ランダム化比較試験(randomized controlled trial;RCT)
intention to treat analysis(ITT解析)
二重盲検
相対危険と治療必要数
危険率と信頼区間
研究仮説
大規模臨床試験と研究規模
観察研究-症例対照研究とコホート研究
批判的吟味
内的妥当性と外的妥当性
F(ベースラインリスクの比)
サブグループ分析ー目の前の患者に近い対象で検討する
歩きながら論文を読む方法とEBMスタイルジャーナルクラブ
標語で学ぶEBM
EBMとNBM-物語としてのEBM
日々のEBMの実践のために

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『EBMキーワード』

著 者:名郷 直樹
単行本: 136ページ
出版社:中山書店 (2005/3/20)

EBMを実践して、もっと正確にいえば実践しようとしてわかったこと。情報の集め方、批判的吟味の仕方、しかしそのなかでの最大の収穫は、どんなに優れた論文を読んだところで、目の前の患者にその論文が役立つかどうかはわからないということである。

「32 日々のEBMの実践のために」より

2015年8月28日(金)
ムーブメント5シリーズを修正・加筆しました。

2015年4月13日(月)
●コラムに45.【身体】正しい【立ち方】を追加しました。

2015年4月12日(日)
●コラムに44.【身体】脱力と体軸を追加しました。

2014年1月31日(金)
ダンサーの為のロルフィングページを追加しました。

2014年1月25日(土)
●コラムに43.【解剖】肩甲骨と前鋸筋を追加しました。

2013年11月3日(日)
●コラムに42.【解剖】骨盤・仙腸関節の動きを追加しました。

2013年9月17日(火)
●おススメ本に13.『ホンダ イノベーションの神髄』を追加しました。

2013年9月16日(月)
●コラムに41.身体のゆがみ:O脚のメカニズムを追加しました。