インナーマッスルの働き「ローテーター・カフ」

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32.【解剖】肩関節の構造

2013.6.2(土)

今回は肩周りの構造についてです。

胴体を長方形としてそこに腕・脚がついているロボットを想像してみます。一般的には肩関節というとこのロボットでいうところの腕と胴体の付着部位だと認識されている方が多いと思います。

でも医学的には肩周辺の関節は5つほどあります。

5つの肩関節

①胸鎖関節
②肩鎖関節
③第2肩関節
④肩甲上腕関節(一般的にここが肩関節だと認識されている)
⑤肩甲胸郭関節 ※

※肩甲胸郭関節は靭帯で連結されていないので厳密に言えば関節ではありません。ただし、機能的にはものすごく重要ですので関節として捉えると役立ちます。






思った以上にたくさんの関節がありますね。関節があるということはそれだけ多彩な動きができるということでもあります。

僕のロルフィングのセッションでは肩周りの人間本来の構造通りの動きを引き出すことを一つの目的としますが、セッション前には肩甲上腕関節で腕だけを動かしていたクライアントさんがテーブルワークやムーブメントワークによって他の関節も活用しだして優雅で楽に腕を使いだすのは珍しくありません。

「胸鎖関節(鎖骨と胸骨の付着部位)から腕を使いなさい」という指摘はインスタント的に腕の使い方の奥深さを感じるのには役立ちますがあくまでもそれは入口で、日常的に身体に定着させるにはしっかり取り組んでいかなければいけません。

上のレベルを目指すのなら正直際限はないのですが、それでもダンサーには最低限こうした動きを身に着けてもらいたいのですがストリート系のダンサーは肩関節周辺の動きにはあまり注意を払わない印象がありますし、バレエ・ジャズ系では固めて形だけを作っており動きが生きていない方がかなりの数います。

もし当てはまるようならこのコラムが身体の使い方を改めるきっかけになればうれしく思います。


ボール&ソケット構造

肩甲骨に上腕骨ははまる構造になっていますが、肩甲骨の上腕骨がはまる部分(ボール状になっている)は小さなお皿のようになっており、ボール&ソケット構造と呼ばれています。

上腕骨のボール状の部分の約1/4程度がこのお皿部分程度しかはまっておらず拘束性が低いので様々な動きが可能で、より可動範囲が広くなるというメリットがあります。ただし、その分安定性には欠けるというデメリットが存在します。

この安定性を高めるのに役立っているのがローテーター・カフ(回旋筋腱板)と呼ばれる4つのインナー・マッスルです。


4つのローテーター・カフ

①棘上筋
②棘下筋
③小円筋
④肩甲下筋


スポーツやフィットネスの分野ではインナーマッスルへの注目度がここ20年ほどで高まっていますが、なぜインナーマッスルを鍛えると良いのかを理解しているかというとそうではないようです。インナーマッスルを重視しすぎてアウターマッスルを軽視する人もいます。

でも実際には「インナーマッスル※1」「アウターマッスル※2」ともに重要で、必要でない筋肉はどこにもありません。

※1インナーマッスル:身体の比較的深部に位置する筋肉。関節の安定性などに関与。ローテーター・カフ、腹横筋、骨盤底筋など。
※2アウターマッスル:身体の比較的浅部に位置する筋肉。力強い力を発揮する働きを担う。大胸筋、広背筋、三角筋など。


ローテーター・カフの働き

アウターマッスルの働きは簡単にいってしまえば力強い力を発揮することにあります。筋肉の付着部位もより効率的に力が加わるように関節から離れた部分にあります。ただし、この関節から離れた部分に付着している為にこのままでは肩のお皿から上腕骨をズラしてぐらぐらにさせて安定性が失われてしまいます。このままでは関節周りの靭帯や関節包といった軟部組織に損傷をあたえ、ひどくなると脱臼、亜脱臼を起こしかねません。




その為にインナーマッスルが必要になります。インナーマッスルであるローテーター・カフは上腕骨を肩甲骨のお皿にしっかり引き寄せ、上腕骨がお皿から離れるのを阻止する働きをしています。




こうした働きの為、ローテーター・カフをトレーニングして適切に働かせることができても、これだけではスポーツなどのパフォーマンスは高まりません。

このあたりは僕自身が実体験済みです((笑)高校の野球部時代よくわからないままローテーター・カフのトレーニング(負荷の軽いチューブを用いたもの)を朝のホームルームで行っていました。当時はインナーマッスルという聞きなれない筋肉を使えるようにするとパフォーマンスが伸びるような幻想を抱いていました。反省です。。。

ローテーター・カフの活かし方

ここまで肩関節まわりについて説明してきました。ただし、これだけでは日常生活でも、スポーツ、ダンスにも全く役に立ちません。

ただし、知識としてはしっかり持っておきたい事柄です。

次回の記事ではこの知識を実際に使えるようにするのに重要な肩関節の機能的な使い方「ゼロ・ポジション」について説明したいと思います。


参考文献「手塚一志の肩バイブル」
「スポーツメディスン129」

2015年8月28日(金)
ムーブメント5シリーズを修正・加筆しました。

2015年4月13日(月)
●コラムに45.【身体】正しい【立ち方】を追加しました。

2015年4月12日(日)
●コラムに44.【身体】脱力と体軸を追加しました。

2014年1月31日(金)
ダンサーの為のロルフィングページを追加しました。

2014年1月25日(土)
●コラムに43.【解剖】肩甲骨と前鋸筋を追加しました。

2013年11月3日(日)
●コラムに42.【解剖】骨盤・仙腸関節の動きを追加しました。

2013年9月17日(火)
●おススメ本に13.『ホンダ イノベーションの神髄』を追加しました。

2013年9月16日(月)
●コラムに41.身体のゆがみ:O脚のメカニズムを追加しました。