第2の骨格『筋膜』

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40.【身体】第2の骨格『筋膜』

2013.9.8(日)

知っているようで知らない“筋膜”

最近「筋膜」という軟部組織は医学の世界において急激に注目を集め研究が進んでいます。また、健康雑誌「TarzanⓇ」でも特集が組まれるほど一般的にもなりつつあります。

ただ、「筋膜?!知っているよ!!」という方でも、よくよく聞いてみると名前だけでその実態を知らなかったりということは多々あることです(T_T)/


そこで今回はロルフィングで働きかける「筋膜」の概要について簡単に説明したいと思います。

筋膜は総称

「筋膜」とは「筋」という用語がついていますので筋肉となにかしら関係があることが想像されます。実際には全身をつつんだり、筋肉1つ1つを何層にもわたって包んでいる“膜組織”の総称で正式な名前は「存在する場所」と「働き」によって異なった名前がついています。

列挙すると

  1. 浅筋膜
  2. 深筋膜
  3. 筋外膜
  4. 筋周膜
  5. 筋内膜


これらの筋膜は骨格に筋肉や内臓などの組織をはりつけて形つくっているので第2の骨格とも呼ばれることがあります。


筋肉を包む筋膜

筋肉は筋繊維と言われることがあるように細かくわけていくと細かい糸状の組織から構成されています。

ただしこの糸状の組織だけではバラバラになってしまって形を維持できません。ですので筋膜というラップで包んでみます。するとソーセージのような袋状の形になりました。こうなるともう糸状の組織はバラバラにはなりませんね。

更にこのソーセージ状のものが何個も集まって再度筋膜で包むということを数回繰り返していくとやっと見慣れた筋肉になります。

筋膜は深い部分から

  • 「筋内膜」
  • 「筋周膜」
  • 「筋外膜」

という名前がついています。




全身を包む筋膜

筋肉は骨格に付着していますが小学校の筋肉や内臓を取り外しできる人体模型を思い浮かべてみてください。筋肉や内臓を骨にとりつけたとしてもそれだけでは筋肉や内臓は簡単に場所がずれてしまいます。そこでスーパーの精肉コーナーで売られている肉のように骨格に筋肉や内臓をつけてから筋膜で身体全体をボディスーツのように包み込みます。この筋膜は深筋膜と言います。

深筋膜があることによって二の腕の筋肉(上腕二頭筋)が横に移動したり、真後ろに行くということがないんですね(笑)

更に、深筋膜があれば浅い層の筋膜があります。それは皮膚の下にある皮下脂肪がそれです。名前を浅筋膜と言います。

実際には2層構造になっており、外側は脂肪を含み、内側は脂肪を含みませんが、皮下脂肪層を浅筋膜と捉えてよいと思います。


筋膜同士は滑走する

超音波測定器でみてみると筋肉が収縮すると深筋膜と浅筋膜(皮下脂肪)がずれ合っている(滑走)のが確認できます。筋膜はお互いに接触し合っているのでずれ合うことができるんですね。

正常な筋膜はサラサラとしているのでスムーズにずれ合います。ただし、ケガをしたり、運動不足だったり、精神的ストレスいったなんらかの理由によって筋膜の粘着性が高まるとスムーズに動かなくなり、結果として身体が動かしにくくなります。




これは筋肉1つ1つにもあてはまります。筋肉は何層にもつみかさなるように存在していますから身体を動かすと筋肉を包む筋膜同士がズレあいます。

筋膜の粘着性が高まり摩擦力が大きくなってしまうと動きが制限されます。

スポーツやダンスの分野ではこの筋膜の制限は致命的な弱点となります。これはテクニック以前に身体の構造として動きが制限されてしまう為です。

理想的な状態は身体中の各関節が適切に動かしたいものですが、筋膜同士が癒着を起こしていると関節の動きも悪くなりいくつかの関節がまるで一つのまとまりであるかのように固まって動くことにつながります。

このまとまった関節をなんとか動かそうとすることは余計な力みです。そしてその余計な力みをがんばって産みだしている方が非常に多いのです。

このような状態が継続すると筋肉や筋膜が更に硬くなり、本質的に脱力できない身体へ向かうことになります。


筋膜の硬化による悪影響

筋膜は血管、神経の通り道にもなっています。さらに筋膜にはさまざまな刺激を感知する感覚器官が多数存在しています。

つまり、筋膜の粘着性が高まり固くなるということは神経を圧迫し、血流を阻止することにつながります。そして、組織が酸欠になると発痛物質が発生し、その物質を感覚器官が感知し痛みにつながります。

また、筋膜の硬化は筋膜自身を縮めます。この筋膜の短縮は姿勢に大きく影響を与えることになります。例えば、胸についている小胸筋の筋膜が縮むと肩を前方にひきだし、猫背の原因となるわけです。

よく行われているストレッチでも筋肉を伸ばすには筋肉の前に筋膜が伸びる必要がありますが筋膜が縮んで伸びにくくなるということは適切にストレッチができないということになります。



ロルフィングがすること

ロルフィングのセッションではこの筋膜を中心に働きかけます。

具体的には手や肘などを使って持続的に圧を加えていきます。持続的に圧を加えることにより熱を産みだして筋膜同士の粘着度を本来のサラサラの状態に戻していきます。

そして、それは表層の浅筋膜から身体の深い部分にある筋肉まで10回のセッションを通して全身の筋膜を正常化させていきます。

エクササイズなどをして筋膜を正常化させることも不可能ではありません。ただし、それには大変な時間と労力がかかるということになります。おそらく10年といった単位になると予想されます。また、あくまでもこれは身体の使い方があるレベルまで洗練されている場合です。そもそも筋膜が硬化した状態では効果的にエクササイズを行うのはかなりの難易度です。だから筋膜が硬化しているとも言えます。


そして、どうしてもセルフでは得意な部分と不得意な部分があるので均質に筋膜を整えることは至難の業になります。そこで他者から施術を受ける1つのメリットがあります。


更にロルフィングのセッションには「知覚」や「ムーブメント」といった身体の教育も行い筋膜が再度固くならないようにアプローチしていきます。

最近では理学療法士の方もアナトミー・トレイン(ロルフィングを元にしたメソッド)などを学んでいるので、ロルフィング的な手技を行う施術家も増えてきています。ですがこれはロルフィングそのものとは違います。

僕自身もアナトミー・トレインの書籍やDVDをみたり、アナトミー・トレインを学んだ理学療法士の方のセミナーに参加したことがありますが、あくまでも手技をぬきだしたものでした。

おそらく治療やリハビリにはその方が都合がよいのだと思いますがロルフィングは治療ではないので考え方・目的が違いますので結果もおのずと異なります。

身体は全身関連し合っているので問題だけある部分だけよくしても根本的な解決にならないケースが多々あります。

「ロルフィングのたちばな」ではムーブメント5シリーズという、より上の水準の身体・動きを身に着けることが目的のメニューがあります。関節のワークを中心に行っておりますがやはりロルフィングを受けられたクライアントさんとそうでないクライアントさんでは身体の反応が大きく違います。

ロルフィングを受けられた方の特徴をあげると

①身体の変化が早い
②少しの変化も感知できる
③ムーブメントの効果が全身に波及する

などなど。一言で言ってしまえば身体への取り組みの質や効果を変えてしまうんですね☆



おまけ

マッサージや整体の施術者の方へアピールしたいのはロルフィングを受けると施術の効果を高めることができるということ。知覚や意識、身体の使い方の土台となる身体を整えることは手技の精度を高めます。

リハビリの分野でも身体や意識、体軸の使い方によって施術効果を高めようという動きがでています。この種のセミナーにも参加したことがありますが、ロルフィングを受けるとこうした試みの上達率が格段にあがるということがわかりました。

肩肘を張って施術者が力んだ状態だとクライアントさんの身体に緊張が伝わります。逆に力みがぬけて身体が上手くつかえるとクライアントさんの身体は施術者を受け入れてくれます。

実は僕自身、このあたりについて専門的に学んでいるので良く知っているのですが、身体の開発が進むと触れているだけでもクライアントさんの筋肉がゆるんでいきます。

施術も身体活動。

テクニック以前に身体を整えることはあらゆる身体活動に利益を与えるんです^^


【参考文献】
筋膜マニピュレーション 理論編
筋膜マニピュレーション 実践編
ペインリハビリテーション

2015年8月28日(金)
ムーブメント5シリーズを修正・加筆しました。

2015年4月13日(月)
●コラムに45.【身体】正しい【立ち方】を追加しました。

2015年4月12日(日)
●コラムに44.【身体】脱力と体軸を追加しました。

2014年1月31日(金)
ダンサーの為のロルフィングページを追加しました。

2014年1月25日(土)
●コラムに43.【解剖】肩甲骨と前鋸筋を追加しました。

2013年11月3日(日)
●コラムに42.【解剖】骨盤・仙腸関節の動きを追加しました。

2013年9月17日(火)
●おススメ本に13.『ホンダ イノベーションの神髄』を追加しました。

2013年9月16日(月)
●コラムに41.身体のゆがみ:O脚のメカニズムを追加しました。