肩甲骨と前鋸筋

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43.【身体】肩甲骨と前鋸筋

2014.1.25(土)

肩こり解消やダンス、スポーツのパフォーマンスの向上の為に肩甲骨の使い方について興味を持たれる方は多いようです。今回は肩甲骨の使い方について説明してみようと思います。

【テスト】

まずは簡単なテストです。試してみてください。

【前ならえテスト】
片腕をなにげなく「前ならえ」のように身体の前にあげます。

この時、肩や肩甲骨の動きについて確認します。

3つのポイント

このテストを行って以下の3点を確認してみましょう。

①肩は下がりながら腕をあげることができているか?
②肩甲骨は前方にスライドしているか?
③大胸筋が固くなっていないか?(特に上部)

この3つのポイントができていれば鎖骨のラインにスペースができ適切な肩甲骨、腕の使い方ができています。

以下、この3つのポイントについて説明していきます。



僧帽筋の力み

肩は下がりながら腕をあげることができているか?

地球上では身体には重力が絶えず働いています。そして、上肢(肩甲骨、鎖骨)は肋骨の上にのっている構造をしていますので、本来は末端である腕を持ち上げるとその根元である肩周辺はシーソーのように下がるはずです。

ですが、多くの方はむしろ肩まで持ち上げてしまっています。その原因の一つは「僧帽筋」という背中にある筋肉です。「肩こり」で注目される筋肉ですね。



この僧帽筋の緊張が強いと肩を頭の方向に引き上げてしまいます。また、ダンス・スポーツなどをしてもこの筋肉を優先的に使ってしまう為身体に負担がかかりやすく疲れやすくなったり、身体を痛めやすくなります。また、高度なパフォーマンスは期待できません。

そして、肩こりはないと思っている人でも大抵の人は自身が思っている以上にこの筋肉を力ませています。


前鋸筋

肩甲骨は前方にスライドしているか?

肩甲骨は直接的には体幹に付着していません。鎖骨を通して間接的に付着しています。ですので肋骨の上を自由にスライドさせることができます。

前方に肩甲骨をスライドさせることができますとその分、手を伸ばせる距離が拳1つ分ほど変わります。





肩関節の抜き

大胸筋が固くなっていないか?(特に上部)

肩甲骨を前方にスライドさせる際に重要なのは「前鋸筋」ですがよくある間違った使い方は前鋸筋の代わりに「大胸筋」を収縮させてしまうことです。



大胸筋は腕と胸をつなぐ筋肉で腕を胸の中心に引き寄せる働きをします。ただし、この大胸筋が働くと胸の部分が固まり動きを制限します。



前鋸筋は肩甲骨の内側から肋骨をつないでいでおり、身体の奥にあるので「インナーマッスル」の一種です。図をみていただくとわかりますが、前鋸筋は肋骨の9番にまで付着しています。つまり、肩甲骨の位置よりも下側まで付着しているのですがこれポイントです。

前鋸筋が活動すると肩甲骨を前方にスライドさせる際にななめ下向きの力も発生するということになります。

上記で「肩は下がりながら腕は持ち上がる」と説明しましたが、解剖学的に言えばこの前鋸筋が働く為です。

僧帽筋がゆるんで肩が下がった状態で、さらに前鋸筋が適切に働くことにより、無造作に腕を「前ならえ」のようにあげても肩甲骨が前方にスライドしながらも胸の筋肉は働かなくなります。胸の前に空間ができて大胸筋が収縮していないので筋肉が柔らかい状態です。

肩甲骨と上腕骨は連結し、「肩甲骨が立つ(立甲)」という背中に肩甲骨が盛り上がる現象も起こります。

注意:肩甲骨が立つという現象は僧帽筋の組織的な柔軟性も関係すると思われます。なので僧帽筋が力んでいても組織的に柔らかいと肩甲骨は立ちやすいですが、それでは機能的なメリットは全くないでしょう。よく「肩甲骨は立った。でも、何も役に立っていない」という話を耳にしますが、それは本質的にはただ単に身体が使えていないのが原因ですのですので全く不思議ではありません。

このような動きを「ロルフィングのたちばな」では『肩関節の抜き』と呼んでいます。

「肩関節の抜き」ができると鎖骨のスペースが開き美しい腕の使い方ができるようになりますし、上肢のパフォーマンスは変わってしまいます。
ちなみに、一流のダンサーやアスリートは当たり前のように行っている身体の使い方です。


肩甲骨、前鋸筋を意識してはいけない

ではその肩甲骨を使えるようにする取り組み方法についてですが、まずはその動きを実際に見て認識することは必須だと思われます。

ここでは、よくあるやってはいけない取り組みについてだけとりあげたいと思います。
やってはいけないことは肩甲骨や前鋸筋を意識して動かそうとすることです。これはもう「力み」にしかつながりません。

フィットネスでは「○○を意識して下さい」という指導をよくなされているので、なかなか受け入れることができない方もおられますが、これはとても重要なポイントです。

肩甲骨を意識して動かそうとするとその周辺の筋肉で無理やり使うことに繋がります。筋力トレーニングでは鍛えている部分を叩いたりして刺激を与えて筋力を増強させるテクニックがありますが、身体の使い方への取り組みにおいてはデメリットになります。

肩甲骨は結果的に動く」これが大切です。



まとめ

肩甲骨を使えるようになるには、

●僧帽筋の力をぬく。
●肩甲骨をスライドさせる。
●肩甲骨をスライドさせるには前鋸筋が重要。
●肩甲骨、前鋸筋は直接的に意識しない。


「肩関節の抜き」の基礎はロルフィング10シリーズで習得が可能です。

「ロルフィングのたちばな」では、手技テクニック(関節のリリース)で各関節の正常な動きを引き出しながら、ムーブメントをロルフィング10シリーズの中でご紹介しています。

身体の動きに興味のあるクライアントさんは皆さん、習得されておりますので、もしご興味がありましたら「ロルフィングのたちばな」にご相談下さい(^-^)

2015年8月28日(金)
ムーブメント5シリーズを修正・加筆しました。

2015年4月13日(月)
●コラムに45.【身体】正しい【立ち方】を追加しました。

2015年4月12日(日)
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2014年1月31日(金)
ダンサーの為のロルフィングページを追加しました。

2014年1月25日(土)
●コラムに43.【解剖】肩甲骨と前鋸筋を追加しました。

2013年11月3日(日)
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2013年9月17日(火)
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2013年9月16日(月)
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