脱力と体軸 【ロルフィングのたちばな】

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ロルフィングブログ

44.【身体】脱力と体軸

2015.4.11(土)

【記事内容】

●脱力の定義
●【誤解①】脱力したら立てない?
●【誤解②】ウェイト・トレーニングと矛盾する?
●脱力のアプローチ方法
・骨格の連動
・身体の細分化
・身体感覚イメージ
●体軸とは?
・軸プッシュ
・後ろ抱えからの歩き
●まとめ

脱力の定義


『脱力』と『体軸(中心軸)』は身体動作を改善する為には外すことのできない重要な考え方です。

最近では健康関連の分野でもこの2つの用語は聞かれます。ただし、まだまだ誤解されている面が多々あるように感じます。

“ロルフィングのたちばな”では【脱力】を

【無意識的に入っている“力み”を意識的に取り去ること】

と定義づけしてセッションを行っています。

これはどういうことかを簡単に体験できる方法をご紹介します。

それは、他者に腕を持ってもらい腕本来の重さを他者の手にのせることができるかというテストです。



これは一見簡単ですが、“力み”があるとどうしても自分で腕を浮かせてしまう、もしくは腕を他者の手に押し付けてしまい腕の重さを演出してしまいがちです。

この時の“力み”は無意識に起こっています。おそらく、ご自身では力を入れているつもりは全くないはずです。

脱力とは、この無意識に入れてしまっている力みと向き合うことです。

以下は脱力の手法や体軸について“ロルフィングのたちばな”の現時点の考え方を記していきます。




【誤解①】脱力したら立てない?

脱力に関する誤解の1つに、


『脱力したら立っていられないのでは?』

ということがあります。実際、よくこの類の疑問を耳にします。

脱力の定義は、無意識的に入っている“力み”を意識的に取り去る取組み】でした。

つまり、「立つ」為に筋力を発揮することは【脱力】に矛盾しません。

しかし、我々現代人は「立つ」状態を維持する為に必要以上の筋力を使用して各関節を固めてしまっています。

その無駄に関節を固めている筋力を取り除くことが脱力です。

脱力された理想的な立ち方の見本となるのは立ったばかりの赤ちゃんです。

ゆらゆらと立ちながらバランスが崩れると「ストン」と尻もちをつくようなあの状態が究極的な脱力状態と言えると思います。

↓参考動画(YouTubeより)




【誤解②】ウェイト・トレーニングと矛盾する?

脱力に関する誤解の2つ目は、ウェイトトレーニングを始めとした筋力トレーニングと矛盾するように捉えられているということです。

脱力とはある意味、いかに「上手く身体を扱えるか」という言葉に言い換えることができます。つまり、あらゆる身体活動の前提条件になります。

スポーツで筋力トレーニングを生かす為には高度な脱力が必須です。

よく巷でウェイト・トレーニングをすると身体が固くなると言われています。しかし、それはある意味ウェイトトレーニングを雑に行ってしまう為にそのような現象が起こります。

スポーツ競技の為にウェイト・トレーニングを行う際には、実際のプレーと同じ心理状況を再現し、がむしゃらにウェイトを持ち上げるのではなく重力を感じながら、冷静に行うことで質のよいトレーニングをする必要があります。

この質のよいトレーニングをすれば身体(関節)を固める方向にはいきません。そして、この質のよいトレーニングを行う為に脱力の能力が関係します。

もちろん、雑にトレーニングを行った方が挙上できる重量は大きくなります。

でもここでウェイトトレーニングを行う目的を考えてみてください。それは、より大きな重量を持ち上げる筋力の養成でしょうか?

おそらく違うと思います。

自身の競技で強くなる為に行っているはずです。あくまでも高重量を挙上できる筋力の養成はパフォーマンスを向上させるうえでの「手段」だったはずです。

この「目的」と「手段」を混同しない【認識力】が脱力トレーニングでは向上させることができます。

詳細はまた別の機会にゆずりたいと思いますが、それはより高度な【認識力】がなければ脱力能力を向上させることができない為です。

そして、脱力により関節の制限がなくなるということはウェイト・トレーニングで鍛え上げた筋力をロスすることなく活用できることにつながります。主動筋・拮抗筋の関係をバイオメカニクス的に考えると、ここに脱力の有効性の疑問の余地はないでしょう。

※【注意】疲労の蓄積による筋の硬化はまた別の話です。如何に疲労を蓄積しないように身体のメンテナンスを行うかはアスリートにとって重要です。




脱力の手法

「ロルフィングのたちばな」では脱力を身に着ける手法として大きく以下の3つに分けています。

①骨格の連動

骨格同士は構造的にお互いに連動して動きますが、この働きを利用したアプローチです。

例として大腿骨と骨盤の連動をあげてみます。大腿骨が内側に回旋していくと骨盤は前に転がります(前傾)。逆に大腿骨が外側に回旋していくと骨盤は後ろに転がります(後傾)。

内股の方は腰を反らしやすく、ガニマタの人は猫背になりやすいということを思い浮かべていただければ理解しやすいと思います。

この大腿骨と骨盤の連動を立位に利用すると骨格構造で身体を支えることができるようになり、余計な力みが生じずらくなります。





②身体の細分化

ヒトは関節の動きにより自由に身体を動かすことができますが、大抵は余計な力みで関節の動きを制限しています。その制限を受けた関節本来の動きを引き出すアプローチです。肩甲骨を立てる(立甲)こともこのアプローチの1種です。

スポーツやダンスの分野では肩甲骨の可動性は重視されていますが、肩甲骨が肋骨と一体化するよりは自由自在に肋骨の上をスライドできた方がパフォーマンスが高くなる為です。ですが、こうしたことは身体中にあてはめることができます。

例えば、股関節に関しては動かないという不自由さは感じていないでしょう。でも現代人の股関節は思っている以上に力みで制限されています。

股関節が制限されていると骨盤を自由に動かすことができません。さらに骨盤の動きが制限されるということは、背骨の動きも制限されるということになります。それが、股関節の制限が少しでも解除されると体幹部が非常に動かしやすくなりますし、重心移動が上手くなり歩きや走りなどが劇的に軽くなります。






③身体感覚イメージ(吊る・垂らす・溶かす)

実は脱力しようと思えば思うほど力みやすくなるのが人間です。そこでイメージを活用します。

具体的には『身体を垂らす』『身体を溶かす』といったものです。

重要なことは単なるイメージではないことです。脳と身体がリンクさせた身体感覚イメージを用います。

なかなかできない段階では想像がつきにくいですが「ロルフィングのたちばな」の施術では、脳と身体のリンクを無理なく教育していきます。




この3つのアプローチは便宜的なもので、実際にはこの3つを組み合わせてワークを行います。



体軸とは?

「ロルフィングのたちばな」では体軸を

【脱力した身体が統合され、身体の長軸方向に生じる身体感覚イメージ】

と定義づけています。


【脱力】と【体軸】は表裏一体の関係です。脱力度を高めれば高めるほど体軸は強くなる傾向があります。

よく体軸と言いますと細い一本の線や透明な線という表現をされますがそれは体軸の水準が高くなったケースだと思います。

体軸が弱い段階では明確な感覚というものはないと思います。

それでは、体軸が形成されるとどのような効果があるのかですが明確にわかるテスト方法があります。

代表的なのは、【軸プッシュ】【後ろ抱えからの歩き】というものです。

●【軸プッシュ】

対面になり一方が押し、もう一方が耐える。体軸が通ってくると抵抗なく押せるようになる。反動をつけずにゆっくりと相手が反応しやすいように押していくのがポイント。筋力がいくら強くても力に頼った押し方では逆に自分の身体が崩れる。

●【後ろ抱えからの歩き】

後ろから身体を抱え込まれた状態で歩く。力づくでは絶対に歩くことはできない。体軸が通り重心移動がスムーズになれば、全力で抱えこまれても何の抵抗もなく歩けるようになる。走る際にこうした身体の使い方ができると重心の上下動が少なくなる。



こうしたテストを行うと体軸とは単なる姿勢がキレイなどではなく、かなり具体的なものであることが実感することができます。

重要なことは体幹の筋肉を固めるような身体の使い方では、ここで言う体軸は形成されないということです。

たちばなが師事する忍躰心操術の村雨先生は、体幹を固めた状態を『体柱』と呼ばれていますがまさに、その用語が適切であると思われます。

実は、体軸が形成されるということはインナーユニットと言われるインナーマッスルである横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群などは適切に働きます。なぜなら人間本来の身体はそのようにできているからです。

上記では究極の脱力状態とは立ち始めたばかりの赤ちゃんだと説明しました。赤ちゃんが意図的にインナーユニットを収縮させることがあるでしょうか?体幹部をガチガチに固めている赤ちゃんがいるでしょうか?




ダンスで身体をバラバラに分離させたアイソレーションという動きがありますが、あのように体幹部をバラバラに使う為にはインナーユニットの活性化が必要になります。

逆に言えば身体がバラバラに使えていればインナーユニットは勝手に活性化できているのです。


体幹部を刺激する意味合いでインナーユニット系のトレーニングを行うことはある意味有効かもしれませんが、ドローイングのように意図的に腹圧を高めるような習慣はやめたほうがよいと思われます。


「軸」という広い意味合いになりますと「運動軸」「骨格の軸」などより複雑になりますのでそれはまた別の機会にゆずりたいと思います。

2015年8月28日(金)
ムーブメント5シリーズを修正・加筆しました。

2015年4月13日(月)
●コラムに45.【身体】正しい【立ち方】を追加しました。

2015年4月12日(日)
●コラムに44.【身体】脱力と体軸を追加しました。

2014年1月31日(金)
ダンサーの為のロルフィングページを追加しました。

2014年1月25日(土)
●コラムに43.【解剖】肩甲骨と前鋸筋を追加しました。

2013年11月3日(日)
●コラムに42.【解剖】骨盤・仙腸関節の動きを追加しました。

2013年9月17日(火)
●おススメ本に13.『ホンダ イノベーションの神髄』を追加しました。

2013年9月16日(月)
●コラムに41.身体のゆがみ:O脚のメカニズムを追加しました。